皆様
平素より大変お世話になっております。
株式会社アンプラット代表取締役の三澤です。
この度当社は2023/12/1に以下の住所へオフィスを移転しましたのでお知らせいたします。
> 新住所
神奈川県横浜市西区みなとみらい二丁目2番1号 横浜ランドマークタワー 7階
誰でもふらっと立ち寄れるオフィスを目指していますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
以下、移転の経緯や、新オフィスで予定している取り組み等について記載しますが、長いので要約を先に記述します。
> 要約
– バーチャルオフィス&フルリモート・フルクラウドによるモダンな経営スタイルを取ってきたが、日本の制度と相性が悪すぎるので、リアルオフィスを構えることにした。
– 入居先のNANALv.はデータサイエンス拠点との位置づけで運営されているインキュベーション施設であり、当社の事業内容にマッチしていた。
– 本来不必要だと考えているリアルオフィスに意味を持たせたいため、定期的にオフラインイベントを実施予定。
– お客様と一緒に作り上げてきた、現時点での当社の人気サービス5選の紹介。
– 代表三澤の直近の関心事
~以下、お時間あるようでしたらお読みください~
移転のご挨拶としては、上述の内容で十分だと思うのですが、
普段、メルマガも送ってなければ、営業的な連絡も一切行っていないため、
この機会に多少、自社語りをさせていただければと思います。
当社は創業以来、川崎のバーチャルオフィスを契約し、事業を行ってきました。
事業内容が極めてIT寄りの研究支援業であるため、そもそも事業活動にオフィスは必要なく、
私自身元CTOであることにくわえ、現CTOは私の上位互換のような能力を持っているため、
すべての業務をWeb・クラウドで行えるように環境を整備することはとても簡単なことでした。
ちなみに川崎を選んだのは、私が川崎市出身というふわっとした理由です。
当社が貫いてきたフルリモートスタイルはメリット・デメリットがあります。
具体的なメリットとして以下のようなものがあります。
– 賃料が安い。
– 交通費がほぼかからない。
– 出社がない代わりに、お客様の施設に積極的に訪問する習慣が生まれる。
– 受付機能があるので、たとえ社員不在でも郵便物のやり取りに問題がない。
– 川崎の一等地にあるように錯覚させることができるので、怪しい企業っぽくならない。
– バーチャルオフィスの系列店の会議室が利用可能なため、フレキシブルにオフラインMTG会場を用意できる。
– 出社させようがないため、リモートワーク全盛期の現代における出社強要という余計なプレッシャーを従業員に与えなくてすむ。
創業初期に関しては、後述のデメリットに対し、これらのメリットの割合が非常に大きく、約三年もの間、川崎のバーチャルオフィスにはお世話になりました。
実際、これらのメリットを享受することで、開発業務へのコミット量が増やせるため、データ解析技術共有プラットフォーム「ANCAT」を始めとする、自社プロダクトの開発スピードが担保できていました。
ANCATの開発スピードに関しては、某大手クラウドサービスプロバイダのエンジニアからも「このサービスをこの人員で、このスピードで作り上げるのはやばいですね・・・!!」と驚かれ、鼻高々でした。
それではなぜ、こんなメリット沢山のバーチャルオフィスから、本来必要ないと考えていたリアルオフィスに移転するのかという部分ですが、
次のステージに進みつつある会社規模的に、
「日本の法律や補助金制度」、「人材確保」、「ファイナンスアクション」、あたりのデメリットが許容できなくなってきたことに起因します。
まず、「日本の法律や補助金制度」についてですが、
当社の現在の人員としては全10名程度で、私とCTOが常勤役員、正社員は入ったり抜けたりしているので、メインの戦力は、昔ながらの知り合いで、副業的に手伝ってくれている業務委託者が大半です。そして業務委託者は優秀な方が多く、海外在住の方も多いです。
こうした、正規雇用以外をメインとする人員構成の場合、様々な問題が発生します。
まず、正社員が複数名在籍していないと、一部補助金に応募すらできません。また、業務委託契約等の場合、雇用ではないため、業務上のリアルタイムな指示(というか業務命令)は法律上できず、業務に支障が出る可能性があります。更にいうと、フルリモートワークというのは法律上かなりグレーで、書類上は「本社勤務」のようにし、リモートワークを行うことになります。こうなってくると、そもそも業務が行えないことが対外的に露呈しているバーチャルオフィスではコンプライアンス上の問題も出てきます。また、細かい問題も色々あり、例えば会社の原始定款は本社での保管が義務付けられているわけですが、バーチャルオフィスだと違反しがちです(貸ロッカー等を追加契約することで回避可能)。
つぎに「人材確保」について、
自分で言うのもなんですが、当社の技術力はとても高いです(営業力とトレードオフ・・・)。
故に、私や、CTOと同程度の能力の人材を雇おうと思ったら、一人あたり年収はミニマムで1000万程度は出さねばなりません。
そんな人材を大量に雇える資金力はないので、有望な若手を雇って戦力化するというのが正攻法になります。
では、若手目線で考えたときに、オンラインだけで実際に会ったことがない初対面の人と一緒に会社を作っていけるでしょうか?
我々と強固な関係性ができている、現存の業務委託者の社員登用等なら問題にはなりませんが、
素敵なオフィスで会社員を夢見ている若者も結構いるようです。バーチャルオフィス&フルリモートは採用面談でマイナスに働くことのほうが多かったです。
新しい人材を雇い、新しい風を吹かせつつ会社を成長させるには、自分たちの城はやはり必要なのでしょう。
最後に「ファイナンスアクション」について、
会社を大きく成長させるには、銀行からのDebtファイナンスまたはVC等からのエクイティファイナンスというアクションを取ることになります。
VCは先進的な考え方を持っているところもおおいのですが、銀行や、信用保証協会等のより公的な意味合いが強い組織は、やはり昔ながらの思想をお持ちの組織も多く、早い話が、バーチャルオフィスを嫌います。
事実、バーチャルオフィスは一時期、反社会的な会社の温床になっていた時期もあって、会社の信用を担保するという点おいてはマイナスにしかなりません。
当社は、いわゆるディープテック系ベンチャー企業なのですが、そのなかではかなり珍しい、売上をベースに事業を拡大している企業です。
そのため、大規模なファイナンスアクションは必要なく、資金がほしいだけなら案件をお受けする量を増やせば良いのですが、
それでも、いざというときに銀行が頼れなかったり、PMFが実現し、一気に事業を拡大したい際に、やはり信用の問題が発生してしまいます。
こういった、未来の危険因子は取り除いておかねばなりません。
以上、今回、リアルオフィスを構えることになった経緯でした。
理想を言えば、ZOZO創業者の前澤社長が新会社でやろうとしていた、会社の枠組みにとらわれない組織形態のような、最強効率を目指したかったのですが、現行法では無理ですね。
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さて、リアルオフィスを渋々構えることにした私が、なぜ横浜ランドマークタワー七階のNANALv.を選んだかについてですが、
そもそも、最初期のオフィス候補としては、
– 最安を目指して適当なマンションの一室を借り登記する。
– 川崎つながりでキングスカイフロント
– ライフサイエンスつながりで湘南アイパーク
このあたりも候補として上がっていました。
しかしながら、元来貧乏性な私としては、「どうせオフィス構えるなら、活用されるオフィスにしたい」という思いがありました。
ただ、だからといって社員に出社を強要したくはありません。通勤してる時間あるならClassの一つでも書いてくれと思っている人間です。
そこで、「あ、お客さんが立ち寄れるオフィスにすればいいんじゃね?」と考えました。
最初は飲食店の居抜き等を探して、研究者の交流カフェ的なものとオフィスを併用しようという無謀な計画もあったのですが、
良い物件がなく、人員的にも厳しいので断念しました(いつかやってやる・・・)。
上述のオフィス候補についてですが、マンション一室については人に来てもらうようなところではなく、
キングスカイフロント、湘南アイパークは立地的に厳しいことに加え、WETな実験をしないのであれば持て余します。
このように当社にマッチし、ピンと来る物件が思いつかない中、昔、僕らの事業内容を興味津々に聞いてくださった三菱地所の方を思い出し、連絡を取ってみたのがきっかけとなりNANALv.への入居の話が進んでいきました。
NANALv.についてですが、三菱地所と横浜市立大学との共同運営という形態を取っており、「データサイエンス拠点」という触れ込みで運営されています。
当社の事業内容はまさにデータサイエンス分野ですし、インキュベーション施設としての経営サポートサービスも、三菱地所のネットワークをもとにかなり充実しています。
加えて、私が横浜市立大学大学院出身ということもあり、思えば、最初にこの施設を知ったときに、若干の運命は感じていた気がします。
小規模なベンチャー企業は、その活動を応援してくれる大企業、顧客によって育ててもらい、成長を遂げていく事が多いわけですが、
当社は今まで、大企業と表立ったつながりは持たず、自前のネットワークだけで細々と経営を続け、われわれを頼りにしてくださるお客様とともに、徐々に事業を拡大してきました。
創業から3年以上経ち、そろそろ飛躍的な発展を遂げたいという欲も出てきたところなので、
ベンチャーの成長パターンの正攻法も活用し、より高クオリティな製品・サービスを届けられるよう、成長にブーストをかけていこうと思っています。
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さて、「お客さんがふらっと立ち寄れるオフィスにする」というコンセプトに対し、
「お茶でも飲みに来てね!」といったところで、現実的には誰も来てくれないでしょう。
オフィスに立ち寄ってもらうためのいくつかの企画を考えています。
具体的には以下のような催しを定期開催します。
1. アンプラットオフィスアワーの開催(無料、原則一人一回予定)
バイオインフォやデータサイエンス、プログラミング等の塾のようなものを定期的に開きます。
事前予約制にはなりますが、開催時間中にオフィスに来ていただければ、
「バイオインフォを始めたい」というところから、
「いまこういう解析をしてるんだけどここに問題があって。。。」のようなトラブルシュートまで相談可能です。
見返りとして、ご自身の研究の話とか、ニーズとか聞かせてください。
2. アンダーザデスク成果発表会(不定期開催)
探究心好奇心の塊である研究者の皆さんの中には、
仕事、あるいはメインで進めている研究の他に、
こっそりすすめていて大っぴらには発表できないものがあるのではと思います。
科学に関係ないことでもOKなので、みんなに共有して遊びましょう。
三澤は作曲とかする人なので「バイオインフォの歌」でも作っていきます(たぶん冗談)。
3. もくもく会の開催(テーマ別、不定期開催)
リモートワークだけだと気が抜けちゃう人、集まって各自、相互監視の下、仕事を進めましょう。
作業に詰まったら、人にその場で聞けるかも?
その他、思いつきで企画は追加します。
なお、持ち込み企画大歓迎です。
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ここまでつらつらと自社語りをしてきてしまいましたが、中には、当社がどんな事業をしているのかご存知無い方もいらっしゃるかと思います。
それもそのはず、ホームページにサービスリリース欄とかないですし、公開もしていないので。。。
お客様のニーズに合わせてフレキシブルに色々なことをやっている当社ですが、その中でも評判の良いサービス5選を紹介します。
1. ANCATサポートサービス
ANCATに限らず、バイオインフォ関連解析をする上で、何故かうまく行かないことってありますよね。
そんなときに本サービスに加入しておくと、データの精査から解決方策までレクチャーします。
要は、バイオインフォ、何でもチャット相談サービスですね。
契約は研究室、1チーム単位、15万円/月~、質問回数は無制限、今のところ、即レス即対応です。
別料金にはなりますが、オフライン相談、訪問サービスもあります。
https://anplat.co.jp/ancat/
※ 契約者希望者が多い場合はお断りすることもあるサービスですので、ご承知おきください。
2. アジャイル開発サービス
いわゆる受託開発なのですが、当社の場合、少し特殊な事情があります。
当社はあらゆるデータ解析手法を研究者の共有財産として無限アーカイブするべく活動している企業です。
当社の受託開発サービスはとある条件を飲んでいただければ、競合他社の半額程度で開発を行っています。
その条件は、「開発物をANCATに載せて、他の研究者にも使ってもらえるようにすること」です。
料金体系も少し特殊であり、いわゆる工数見積ではなく、期間による契約になります。
料金は100万/月で、契約期間を超過しなければ、仕様変更もやりたい放題です。
研究の進捗に合わせて、開発仕様が変わりがちな研究職の皆さんに特化したサービス体系になっています。
※ 数日で納品できるような小規模開発の場合は、開発物単位で10万程度でお受けすることもあります。
まずは、作りたいものの構想をお聞かせいただき、「◯ヶ月いただければ、その仕様を満たした動くものは納品可能です」というところからスタートします。
3. LaboDXサービス
研究室、研究チームをもっと効率的に動かしたいというニーズに対し生まれたサービスです。
組織内の仕事のフローを把握させていただき、整理をした後、機器の購入、ITの導入、必要となるプログラムの作成等を行い、
研究活動の仕組み的なトータルサポートを行います。料金は組織規模によって異なります。
導入したITツール、機器が定着するまで情報システム管理者の代行サービスもあります。
https://labo-dx.com/
4. ANCAT MP
ANCATは研究者が、自身所有するプログラムをANCATにのせて他の人に使ってもらえるようにするプラットフォームですが、
このとき、自身のプログラムを有償設定し、利用料に応じたインセンティブを受け取れるサービスがANCAT Market Place(ANCAT MP)です。
SaaSの運営委託をイメージしていただければ良いのですが、特徴しては「共同運営」の形を取ることです。
末端の解析利用顧客に対し、共同でサポートに当たり、カスタマーサクセスの向上を図ります。
例えば、当社とかずさDNA研究所で運営しているANCAT MP内のSaaS、「GARDEN Cloud」は、
植物ゲノムの専門家であるかずさDNA研究所と、システムの専門家である当社が、共同でサポートに当たることで、解析利用者に対して全方位のサポートを行うことが可能です。利益の分配については事前に協議の上、契約書を交わす必要があります。
https://ancatmp.com
5. バイオインフォ版プチSES事業
当社で育てたバイオインフォ人材をお貸しします。
研究所だと、データを外に出せず、どうしても施設内で解析を行わないといけないこともあるため、
当社の人材を期間限定で貸出すことで短期集中で研究を進めていただくことができます。
事前契約が必要です。
※ 貸し出せる従業員数がかなり少ないので、お受けできないこともございます。
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ここまで読んでくださった物好きな方がいるかわかりませんが、
自社語りは以上です。
当社では研究者、研究所から、研究領域を問わず、お仕事をお受けしています。
なにかお困り事があれば、まずはご相談ください。
少し個人的な興味も含むのですが、
データの蓄積、可視化、利用によって効率が飛躍的に上がるであろう製造業界、
ゲノム編集食料等により、研究レベルと製品レベルの協会が曖昧になってきている食品業界についてはとても関心を持っています。
当該業界の方がいらっしゃいましたら、ぜひお話聞かせてください、当社としても最大限の条件を持って対応させていただきます。
末筆とはなりますが、皆様のお陰で、会社は4期目に入る事ができ、オフィスの移転も果たすことができました。
今後も、研究者のサポート、および社会全体としての研究活動の最適化を通して、科学技術の発展に努めて参りますので、
引き続きよろしくお願いいたします。
2023/12/1
株式会社アンプラット
代表取締役
三澤 拓真